2008年07月21日
低カロリーメニュー誕生(平成十八年四月:島菜の本⑩)
⑩平成十八年四月 低カロリーメニュー誕生

『肉抜きで…』
キッチンの山岸は悩んでいた。一周年を迎えた沖縄食堂島菜は全メニューで化学調味料や着色料を使用することをやめた。お客様からのアンケートには、多くの賛同・激励の声が届き、達成感に満足しそうな時であった。しかし、2~3日に一人「肉抜きで」と注文するお客様がいる。管理栄養士でもある山岸は、これまでバランスよい美味しいメニュー作りを進めてきた。肉抜きを注文するお客さんが、ベジタリアンなのか?ただの肉嫌いなのか?まさか、お肉の味に何らかの問題があるのではないか?と山岸は悩んでいたのであった。
『圧倒的に女性』
その悩みを解決するヒントは身近な所にあった。山岸はお客様アンケートの中から「量が多い」というものを複数見つけた。その声が圧倒的に女性からのものであることを知った山岸は、ホールスタッフに尋ねた。予想した通り、「肉抜きで」と注文するお客様もほとんどが女性のお客様であった。そして山岸は、再度アンケートを読み返した。「島菜の料理は女性には量が多い」という声ももちろんあったが、「カロリーを気にしているから」という声が多数を占めた。山岸は「肉抜きで」という注文もカロリーを気にしてのことであると確信した。
『ダイエット』
カロリーを気にするのは女性が多い。世間で流行る様々なダイエットもほとんどは女性がターゲットである。そこで、山岸は自らのつらい経験を思い出していた…。学生の頃の失敗したダイエットのことである。とある理由で始めたダイエットは単純に「食べない」というものであったが、成長期のダイエットは大きな危険を伴う。山岸の場合は、度を越して痩せすぎてしまい、拒食症になり、病院で点滴の日々を過ごした。そして大きなリバウンドがあり、今度は過食症になってしまった。現在はその過去を全く感じさせないスタイルの山岸であるが、本人にとっては辛い思い出を笑顔で語ってくれた。その経験が山岸を栄養士の道へと進ませたからの笑顔だった。
『メニュー開発』
山岸の「ヘルシー」をテーマとした新しいメニューの開発が始まった。お客様のニーズに応え、カロリーを減らすメニュー作りに取り組んだ。しかし島菜のメニューは野菜中心でバランスの取れた健康的な低カロリーである。始めから高カロリーな揚げ物などはもちろんない。そこで、調理油やご飯、そしてイメージ以上にカロリーのある島豆腐の量を減らし、そしてお肉を抜いた。カロリーを落とすことは、簡単ではなかったが管理栄養士の山岸にとっては、それほどの難問ではなかった。しかし山岸は悩んだ。美味しく食べることが出来なくては島菜の料理ではない。そして味の調整を何度も何度も繰り返した。そして出来上がった料理は上々のできであった。
『カロリーは悪なのか?』
これなら島菜で提供できる味であると確信したが、山岸の心の奥にはまだ、わだかまりが残っていた。ダイエットをしていた頃の山岸なら「カロリーは悪」という観念でもっと簡単にメニュー開発ができていたはずであった。しかし今は違った。しっかり食べるという重要性を自分の経験で痛いほど知っていたからである。そして、山岸は完成したメニューに野菜の量を出来る限り増やすことにした。増やすだけでは済まないことはもちろん知っていた。そして、味の調整を一からやり直した。それは山岸の意地であった。
『ヘルシーの意味』
そして再度、メニューが完成した。そして山岸はある提案を行い、周りを驚かせた。それはメニューから「ヘルシー」という言葉をのぞくというものであった。山岸は「カロリーを減らすこと」は「ヘルシー・健康」とイコールではないと熱く語った。「低カロリーだけがヘルシーではない。お客様は様々で、中には高カロリーの食事が必要な人もいる。選択はお客様にしてもらうべきである。」という説明を付け加えた。メニューの表記を「ヘルシー」から「低カロリー」にし、全てのメニューにカロリー表示をするという山岸の提案を否定するものはいなかった。
『ある不安』
「お客さんの半分は男性で、ボリュームいっぱいという食堂のイメージに反することが受け入れられるか?今まで以上に手間ひまがかかる調理となり、スムーズに料理が提供できるか?という点が不安でした。」と開発初期の不安な心情を山岸は語ってくれた。前者は男性のお客様からの「もったいないから量を減らして欲しい」というアンケートの声で確信を得、後者は店長をはじめ、周りのスタッフの強い協力により勇気を得ることによって乗り切った。お客様の声のありがたみとチームワークの大切さを改めて感じる一瞬であった。
『更なる開発』
低カロリーメニューが無事に開発され、お客様に提供された。女性客はもちろん、男性様からも好評である。しかし山岸の足は止まらなかった。今回の低カロリーメニューの開発で方向性の大きなヒントを得ていた。「低カロリーだけがヘルシーではない」という言葉の意味は、他にもヘルシーメニューの開発は可能ということである。山岸は既に歩み始めていた。沖縄食堂島菜の今後のメニューに注目してもらいたい。
▲次に進む⇒⑪玄米が選択可能に(平成十八年七月)
▲一つ前に戻る⇒⑨無添加物語「カマボコ無添加への道」(平成十八年二月:島菜の本)
▲目次に進む⇒島菜の本目次

『肉抜きで…』
キッチンの山岸は悩んでいた。一周年を迎えた沖縄食堂島菜は全メニューで化学調味料や着色料を使用することをやめた。お客様からのアンケートには、多くの賛同・激励の声が届き、達成感に満足しそうな時であった。しかし、2~3日に一人「肉抜きで」と注文するお客様がいる。管理栄養士でもある山岸は、これまでバランスよい美味しいメニュー作りを進めてきた。肉抜きを注文するお客さんが、ベジタリアンなのか?ただの肉嫌いなのか?まさか、お肉の味に何らかの問題があるのではないか?と山岸は悩んでいたのであった。
『圧倒的に女性』
その悩みを解決するヒントは身近な所にあった。山岸はお客様アンケートの中から「量が多い」というものを複数見つけた。その声が圧倒的に女性からのものであることを知った山岸は、ホールスタッフに尋ねた。予想した通り、「肉抜きで」と注文するお客様もほとんどが女性のお客様であった。そして山岸は、再度アンケートを読み返した。「島菜の料理は女性には量が多い」という声ももちろんあったが、「カロリーを気にしているから」という声が多数を占めた。山岸は「肉抜きで」という注文もカロリーを気にしてのことであると確信した。
『ダイエット』
カロリーを気にするのは女性が多い。世間で流行る様々なダイエットもほとんどは女性がターゲットである。そこで、山岸は自らのつらい経験を思い出していた…。学生の頃の失敗したダイエットのことである。とある理由で始めたダイエットは単純に「食べない」というものであったが、成長期のダイエットは大きな危険を伴う。山岸の場合は、度を越して痩せすぎてしまい、拒食症になり、病院で点滴の日々を過ごした。そして大きなリバウンドがあり、今度は過食症になってしまった。現在はその過去を全く感じさせないスタイルの山岸であるが、本人にとっては辛い思い出を笑顔で語ってくれた。その経験が山岸を栄養士の道へと進ませたからの笑顔だった。
『メニュー開発』
山岸の「ヘルシー」をテーマとした新しいメニューの開発が始まった。お客様のニーズに応え、カロリーを減らすメニュー作りに取り組んだ。しかし島菜のメニューは野菜中心でバランスの取れた健康的な低カロリーである。始めから高カロリーな揚げ物などはもちろんない。そこで、調理油やご飯、そしてイメージ以上にカロリーのある島豆腐の量を減らし、そしてお肉を抜いた。カロリーを落とすことは、簡単ではなかったが管理栄養士の山岸にとっては、それほどの難問ではなかった。しかし山岸は悩んだ。美味しく食べることが出来なくては島菜の料理ではない。そして味の調整を何度も何度も繰り返した。そして出来上がった料理は上々のできであった。
『カロリーは悪なのか?』
これなら島菜で提供できる味であると確信したが、山岸の心の奥にはまだ、わだかまりが残っていた。ダイエットをしていた頃の山岸なら「カロリーは悪」という観念でもっと簡単にメニュー開発ができていたはずであった。しかし今は違った。しっかり食べるという重要性を自分の経験で痛いほど知っていたからである。そして、山岸は完成したメニューに野菜の量を出来る限り増やすことにした。増やすだけでは済まないことはもちろん知っていた。そして、味の調整を一からやり直した。それは山岸の意地であった。
『ヘルシーの意味』
そして再度、メニューが完成した。そして山岸はある提案を行い、周りを驚かせた。それはメニューから「ヘルシー」という言葉をのぞくというものであった。山岸は「カロリーを減らすこと」は「ヘルシー・健康」とイコールではないと熱く語った。「低カロリーだけがヘルシーではない。お客様は様々で、中には高カロリーの食事が必要な人もいる。選択はお客様にしてもらうべきである。」という説明を付け加えた。メニューの表記を「ヘルシー」から「低カロリー」にし、全てのメニューにカロリー表示をするという山岸の提案を否定するものはいなかった。
『ある不安』
「お客さんの半分は男性で、ボリュームいっぱいという食堂のイメージに反することが受け入れられるか?今まで以上に手間ひまがかかる調理となり、スムーズに料理が提供できるか?という点が不安でした。」と開発初期の不安な心情を山岸は語ってくれた。前者は男性のお客様からの「もったいないから量を減らして欲しい」というアンケートの声で確信を得、後者は店長をはじめ、周りのスタッフの強い協力により勇気を得ることによって乗り切った。お客様の声のありがたみとチームワークの大切さを改めて感じる一瞬であった。
『更なる開発』
低カロリーメニューが無事に開発され、お客様に提供された。女性客はもちろん、男性様からも好評である。しかし山岸の足は止まらなかった。今回の低カロリーメニューの開発で方向性の大きなヒントを得ていた。「低カロリーだけがヘルシーではない」という言葉の意味は、他にもヘルシーメニューの開発は可能ということである。山岸は既に歩み始めていた。沖縄食堂島菜の今後のメニューに注目してもらいたい。
▲次に進む⇒⑪玄米が選択可能に(平成十八年七月)
▲一つ前に戻る⇒⑨無添加物語「カマボコ無添加への道」(平成十八年二月:島菜の本)
▲目次に進む⇒島菜の本目次
Posted by 島菜々子 at 22:23│Comments(0)
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「島菜の本」を当ブログで公開させていただきます。①はじめに ( 和家若造編集長 )より②平成十六年夏 島菜の目指すところ③平成十六年秋 化学調味料を使わない...
島菜の本 目次【沖縄食堂 島菜】at 2008年07月21日 22:59